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2019.0308 O.A 北海道立釧路芸術館 熊谷学芸員 「信貴山縁起絵巻って?!」 [motto museum]

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平安時代後期から鎌倉時代の頃の作と考えられている絵巻のことについてお話しいただきました。奈良の信貴山で修行をした平安時代のお坊さん、命蓮にまつわる3つの奇跡の話を絵巻にしたものです。1つの奇跡は、鉢が飛んだり、米の入った倉庫が飛んだり。2つ目の奇跡は帝の病気を治したり。3つ目の奇跡は、命蓮の姉の尼公がはるばる彼を訪ねて東大寺の大仏に居場所を教えてもらい訪ねてくるというもの。まるでSFと思われるストーリー展開が特徴的です。さらにそこに描かれた絵は、コミカルかつゴージャス。鳥獣人物戯画と同じ位の時代のものですが、鳥獣人物戯画自体も漫画みたいな筆致で知られていますが、この作品も同じ様に生き生きとした筆致が特徴的。ビックリした人物の顔や飛んで行く米の俵等々にそれはみてとれます。また、金や銀などの豪華な絵の具がふんだんに使われているそうで、作者は不明ですが、お金のある権力者がスポンサーとなり制作されたと考えられています。そして、何よりも見る人の視線の動きがもたらす効果をフル活用している点が素晴らしいそう。美術館等で巻物を見る時はケースに広げて置いてあることが多いと思いますが、本来は両手で持ち、左手で広げながら、右手で巻いて見ていくもの。感覚的にはスマホの画面をスクロールする感じでしょうか。次の展開はどうなるのか?ワクワクする感じが伝わります。実は、この信貴山縁起絵巻は「日本四大絵巻」に数えられる事もあるそうです。日本美術史上、重要な作品であるだけではなく、在りし日の奈良・東大寺の大仏の姿が描かれていたり、建物の絵が描かれている事から建築史の史料になったり、詞書は国文学の史料になったり。その様な面からみても見応えのある絵巻物なのだそうです。
http://www.kushiro-artmu.jp/

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