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2019.0412 O.A 北海道立釧路芸術館 熊谷学芸員 「仏教美術と版画」 [motto museum]

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世界最古の木版は、日本の奈良時代の「百万塔陀羅尼」。これは手に乗る位の大きさのもの。鎮護国家と滅罪を祈願するために、100万の小塔に納めて、仏教寺院に奉納された陀羅尼なのだそう。塔の中に木版で掘った陀羅尼を刷った紙が入っているそうです。この他にも日本の仏教の歴史を辿ると色々なところで木版が活用されていることがわかります。
徳を積むために推奨される行為の一つが「仏像をつくること」。でもそれはごく普通の一般人にはなかなかできない事です。そこで、木版のスタンプの様な仏像ができました。これは印仏と呼ばれるそうです。このスタンプを使い、お寺で新しい仏像をつくる時に信者が皆で紙に印仏をペタペタ押して、それを仏像の中に入れました。まるで自分の分身の様な感じでしょうか。こうする事により、仏像をつくる事に自分も参加し、その仏と縁が結べた(結縁)とされたのです。また、勧進札にも木版が使われています。勧進とは、お寺の建物や仏像を修理する時に信者から寄付金を募ることです。元々は仏道に入ることをすすめる事でした。この寄付のお礼に、本尊などの仏像が摺られたお札をプレゼントしたのです。そのお札を自分の家に貼ることで、徳を積む行為にも繋がったのでしょう。どちらにしても木版は日本人にとって昔から身近な存在だったことは事実。現在、北海道立釧路芸術館で開催されている「江戸の遊び絵づくし」は浮世絵がたくさん展示されています。浮世絵はとても精緻な木版画。細やかな技術の上に成り立っています。つくる事が大変だとしたら娯楽のための「遊び絵」は大量に作られることはなかったかもしれません。江戸時代の人にとっても木版は大変身近な技術であったと想像できるのです。
http://www.kushiro-artmu.jp/

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