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whispers of the wildflowers [path-art]

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根室で暮らし、身近な草花を描き続けた画家、高坂和子。
彼女の作品はよく写真の様だと言われます。しかし今回じっくり拝見することでそうではないのだとあらためてその作品の素晴らしさを感じました。
キャンバスから離れてみるとまるで写真の様に見える作品も、近寄ってみるとまるで抽象画みたいな感じさえしてくるのです。
上の右から2番目の作品が初期の頃、そして一番右が晩年の作品です。
ブログにアップするとどちらも写真に見えますね。ただ実際にみるとその違いは歴然としています。
初期の作品からは、忠実にそこに生きている何気ない植物を真摯に描こうとする姿が見えてきます。
そして晩年のものは、近くで見る感じと遠くで見る感じでは全く印象が違います。晩年の作品というにはあまりにもエネルギッシュで新鮮な感じさえします。
この作品で第41回亜細亜現代美術展新人賞を受賞することになります。
39歳で油絵をほぼ独学に近い形で初め、81歳で亡くなるまで制作活動を続けました。
庭の、野のある場所を覗き込む様にクローズアップした構図、細かい観察でとらえた草花を
そのまま画面に投影したかの様な綿密描写、いわゆる彼女らしい作風に至るのは1970年代末のこと。50歳を超えてからです。
その後最も絵にした季節は秋。かつて春の野で死から再生への体験をした彼女だったのですが、絵心を動かされたのは、命を終える前の野の花たちの姿だったのです。
晩年にむかうにつれ、植物の量感表現は遠ざかり、光と影の対比は一層鮮烈となります。
その光と影は、様々に色づいた植物たちの華やかさと同時に、やがて消えゆく儚さをも表していると考えられます。
中村学芸主幹の言葉を借りるなら「高坂和子の世界とは、根室という局地的な地域性と、抽象後の具象という時代性を備えた、秋草の芸術と言えるのではないでしょうか」
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(高坂和子の世界展は4/12まで北海道立釧路芸術館で開催中)
※臨時休館:2/29(土)~3/31(火)

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