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2020.0717 O.A 北海道立釧路芸術館 熊谷学芸員 「軽〜い仏像?」 [motto museum]

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仏像と聞くとそれなりに重そうな感じがするのですが、どうやら中には軽い仏像もあるそうです。例えば奈良県 興福寺の阿修羅像。作られたのは734年。奈良時代を代表する名作ですが、身長が150cm、さて体重は何キロでしょう?という問題からスタート。答えは15キロ。ではどうしてこんなに軽いのでしょう?その製法に秘密があるそう。阿修羅像は脱活乾漆(だっかつかんしつ)という技法で作られています。まず、木の芯を中心に土を盛りおおよその形に肉付け。漆を塗った麻布で表面を覆い、乾かす(漆を糊として使う)。この工程を何度が繰り返し厚くする。それが乾いたら背中などに穴をあけ、中の土を取り出して空洞にする。補強のため角材などを像の中に入れる。そして漆に木の粉を混ぜてペースト状にしたものを表面に盛り、細部の形を作る。最後は彩色して完成!おおよその形を作るために作った土を取り出すので軽いのです。張り子の様な状態です。脱活乾漆のメリットはとにかく軽い。家事などの有事の時にはすぐに持ち運べる。さらに仏師の手指の動きがそのまま像に反映され、柔和な雰囲気に仕上がり、写実的な表現が可能であるということ。では逆にデメリットはあるのでしょうか?実は乾かすための時間が非常に長いそう。そして何より漆は高級品なのでお金がかかるということ。最初から最後までほとんど漆を使う工程。完成するために一体どれくらいの漆が使われるのか?と思うくらいです。といったことで平安時代以降、技術が途絶えてしまったそうです。もちろん阿修羅像以外にもこの技法で作られたものはあるのですが、木や金属に比べると数としては少ないと言えるでしょう。
http://www.kushiro-artmu.jp/

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