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2019.1101 O.A 北海道立釧路芸術館 藤原学芸員「もの vs 内容」 [motto museum]

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美術作品の「もの」として、そして、「内容」の両面で作品の価値を守り伝える美術館の仕事についてのお話しです。美術品の心はどこに宿ると思われますか?との問いにあなたはどう答えますか?私は内容かな?と思ったのですが・・・。もちろん両方とも重要なことには間違いはないのですが、そう簡単なものでもなさそうです。作品は表現である以上、何を表現したものなのかという内容が重要。そして造形である以上、ものとして存在し続けることが重要なのです。色や形が損なわれてしまったり、そのもの自体が幻になってしまっているよりも、ものとして良い状態で存在していることで、説得力を持って価値を証明できるのです。例えば、ものとして存在し続けるためにしなければならない作業として、作品一つ一つにカルテ的なものが存在しています。それを見ると作品の全てがわかるというもの。作品は貸したり、借りたりということが常にあります。その時に今の作品の状態が一目でわかるように、どこに傷があるとか、この部分はデリケートに扱うようにとか・・毎回チェックされているのです。その様なチェックをしている時に新たな発見もあるのが事実。実際最近もそんな経験をなさったそう。奈良美智氏の作品をじっと見ていると女の子の背景や女の子の色々な部分にそこにはない色や形が見えてきます。一体それはどこから?何を描いているのか?実は作品の側面にその答えはありました。女の子の背景は白く塗られているのですが、その下に描かれている様々な色の絵の具が見えたそうです。そんな発見があると、より作品が身近かに感じられ、もっとその作品や作家の方を知りたくなるとおっしゃっていました。思いもかけぬ発見で、ものとしてのアプローチが作品や制作の内容に近くきっかけになる事もあるということなのです。
http://www.kushiro-artmu.jp/

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