SSブログ

art education [path-art]

美術教育って一体なんだろう・・・と上野秀実氏のお話しを伺って感じたことです。
上野氏はご自身が作家であり、高校で美術を教えて今年で36年。色々な変化があったことと思います。
近年、美術教育で最も変化したのは鑑賞の考え方と。これまでは作者の生きた時代背景や作者の人となりを知ること、
使われている材料・構図や色彩などを造形的な分析、作者が作品に込めたことなど・・・。
もちろんそれは悪いことではありませんが、今は作品をどう見て、何を感じたかという生徒個人の中で沸き起こった感覚を大事にすることや
見方・感じ方が人によって違うことを認め合えることなどに重点が移ってきているそうです。
1.jpg 2.jpg
こちらは問題解決のデザインという授業で行われた1年生の作品。自分を取り巻く目の前の社会にある課題に気づき、
それを主に色や形といった造形的な手法で解決に導く考えができることを狙ったものです。
考えを他者に伝えられるよう、効果的に図案や文章を織り交ぜて表現できることを目的にした教材。
3.jpg 4.jpg 5.jpg
この作品は自画像です。自分自身を花に例えて表現する。自分の外見よりも性質や趣向、将来の希望などに焦点をあてる必要が出てきます。
それを花の形や色、茎の長さや葉の様子はもちろん、どのような季節にどのような場所で咲くのか・・・自分の状況に照らし合わせた比喩。
より自分と対峙することになりそうです。
上野氏が画期的だと思うのは先生からの働きかけではなく、制作を通じて垣間見える生徒の発想力や表現力。
柔軟な考えを元に作られる作品や表現の中には素晴らしいものに出会うことも・・・。
「すでに社会の中に美術の要素は多様な関わりで溶け込んでいると感じます。
その一方で、美術の持つ普遍性を追求するような教育活動も一層充実させなければと思います。
全ての感覚をフル活用して生み出される表現や作品にはその人の中に沸き起こった完成が形を変えて宿ります。
まさに芸術的な体験は生きる実感を引き出します。だからこそ社会全体でアートを享受できる仕組みが広がってくれたらと願っています。」
※尚、写真は上野秀実氏からお借りしました。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。