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2019.1031 O.A 「湿原はどうして紅葉しないの?」 [various story]

日高哲二さん(自然ガイド&ポロト案内舎オーナー)
http://poroto.la.coocan.jp/

紅葉がそろそろ終わり、落ち葉が目立つようになってきました。
そんな中、ポロト沼では今年はすでにオオワシがやってきたそうです。10月16日に渡ってきたそうですが、これは一番早い記録とか。
通常は10月下旬が多いそうです。さらに、オオハクチョウの姿も。秋を越して冬がやってきたみたいな感じさえします。
今回は日高氏から「どうして湿原の中は紅葉しないのでしょう?」という質問から始まりました。
どうしてかしら?木々がないから?ヨシとスゲが多いから?
湿原の中にはハンノキがたくさんありますが、確かにハンノキが紅葉しているのを見たことがありません。
実は緑の葉をつけている時からパラパラと落ちるそうです。気づいたらあれ?葉がない!という状態。
春夏の気温の高い時期に葉は多くの日光を浴び、自らの葉緑体から栄養分を作り出します。これが光合成。
でも、秋になり、気温が下がり始めると、光合成から受けるエネルギーが小さくなり、木が葉を維持するためのエネルギー量と採算が合わなくなってくるのです。
そこで、耐えきれなくなった木は葉を落とすための準備を始めます。その葉が役割を終える過程で、葉の色の変化が起こるのです。
木々にとって
最小限のエネルギーで
春までやっていこうという
節約術みたいな感じでしょうか。
必要なものがなくなった木は葉を捨てます。その中に老廃物さえ入れて。さらに水抜きもして。なんと効率よくできているのでしょう。
さて、窒素は蛋白質や核酸を作るのに必須の元素なのですが、空気中の80%近くを占める分子状の窒素は、植物も動物も利用できないそうです。
利用できるのは一部の細菌類だけ。ハンノキは根に特殊な根粒を作り、窒素を固定する細菌を住まわせ、光合成で作った炭水化物を与えて飼育しているのです。
そこで、窒素源を大事に使う必要がなく、緑の葉ごと捨てることができるのです。
だからこそ、栄養の少ない湿原でも生きていけるのでしょうね。

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